【V 1】ヴェノム誌1号コメンタリー

ドニー・ケイツ氏は過去マーベルでインターンもされてたから、社会人マナー的に穏やかな人当りで先輩や同僚に配慮したトークをされ、脚本構成の話なんかはやや固めに話す傾向があるけど、ちょくちょく口調は崩すので口調や一人称は固定せず会話中適当に混ぜてます。


ヴェノム誌作家ドニー・ケイツ氏「ライアンも参加する前の最初期、二章『深淵』編が一章で静謐なオープニングを考えてた。ヴェノムから完全引退したエディは山奥でシンビオートの斧で木を切り隠居生活してる。熊殺したりとか、すごいベタベタな展開…😅

C・B・セブルスキー編集長が電話してきて至極真っ当なご意見をくれた。『二章のさ…レックス編?』『はいはい』『シンビオート竜出るんだろ!?』『うん』『あれ先に持って来いよ、おばかだなぁ』『はいはい!ですよね~!』


最初の3頁さえできれば残りは簡単。でも肝心のヴェノム誌の開始場面がまったく思いつかなかった。困った時は尽きることなきアイデアの宝庫である友人作家(*ソー誌)ジェイソン・アーロン頼み。最初の章を全部話して聞かせた。でグレンデルって竜がいると。ジェイソン『え、グレンデルって本物?ベオウルフの?』『うん、話進めてから後でそこの所詳しい話に戻る』『君の開始頁はそれだ!ベオウルフでヴェノム誌始めたら注目されるぞ』だから俺が上手くやれてる事の大半はジェイソンがやれって言ってくれたこと😆


やけに揉めたのが『古ノルド語から翻訳』って編集注釈。だってこの時代の言葉と違うんだ!後で皆に訂正されるかもしれないけど、僕も長い間下調べしたから。ベオウルフ時代は古代スカンジナビアとかで、原稿にはスカンジナビア語とか書いたと思う。でも編集は『読者が混乱する』と。『でもこの方が正しい』『いいからノルド語にしとけ!』『でも古代ノルド語なんてあるのかも知らない!でもまあいいよ…』と。まあ読者の誰も突っ込まなかったから結果オーライかな。

ライアン、絵に関しては?」



ヴェノム誌画家ライアン・ステグマン氏「毎回新作品の初回は映画のOPのように新しい要素を入れたくて、シンビオートを雷鳴のようにコマに被せた。『お、何か違う、新たなことをやるんだ』というメッセージ。

この数ページ、余りに緊張していて一番極小の鉛筆を使って描いた😆できるだけ細い線で描かないとと、指に血が滲み出る程にして描き上げた。

この最初の3頁はペン入れ担当JP・メイヤーの選考試験頁でもあった。DCのジョナサン・グラピオンやダニー・ミキのようなタイプの絵を描ける人を探しててマーベル制作人事部のリッキー・パーディンに紹介された。『そういうタイプのペン入れは描いてない人だけど、サンプル見ると本当はそういうの描きたいけど機会に恵まれてないんだと思うんだ』と。神経質になってた俺はまあ試しにやらせてみよう…って。出来上がって来た頁にうっぎゃーっ!!!😍💕💕と😆」

ドニー「凄すぎたね」

ライアン「はいはいはい決定雇った!!やろうぜ!と。滅茶苦茶素晴らしいね」

ドニー「以来見事にやり遂げてる」

ライアン「あと1コマ目😆ちょっとした手違いなんだけど、扉から出てるのは煙。でもフランクがシンビオートと思ったみたいで」

ドニー「そっちの方が良いよ」

ライアン「うん、上手く行ってる」



ドニー「表紙と最初の数頁の伏線みたいなもので、ずっと雷光が描かれてる。作品通して状況設定場面には雷光がある。話が進むともっと大きな意味があって―ここもう触れていいのかな…。シンビオートのオリジン、ナルに繋がる。最初にシンビオートは雷光によってナルとの繋がりを失くし今の僕らが知るシンビオートとなる。ソーの雷光、ソーが出て来る。それが理由。

(*舞台北欧、スウェーデン語でKnullクヌル=ファ●ク😂)

この本開始からヒーロー本からホラーの間を揺らぐ、その物語を語る上で(彩色)フランクが背景に赤を差して強調してるのがわかるはずだ。ホラーに傾き出すたび、フランクが赤に浸す。なぜならそのコマがアブソルート・カーネイジ誌へとじりじりと近づいて行くヒントだからだ」

ライアン「ああ、フランクは素晴らし過ぎる。頁をよく考え抜いてる。フランクはよく俺たちにメッセージを送って来るんだ『ここをああしてこうしてもいいかな?』とかって。もう俺達は『フランク、君がすることは何でも素晴らしい!』😆」

ドニー「うん」

ライアン「いっつもしていいかって聞かれるけど😆『いいから好きにしてくれ、俺たちは絶対止めろなんて言わない!』と」

ドニー「そこ!僕はいつもヴェノム仲間(ギャング)って呼んでるけど、全員が自分のなすべき仕事を正確に理解してるプロで全身全霊を注いでやってる」

ライアン「ああ、だから脚本に文句や注意書きがほぼない、まったくないね」

ドニー「最後につけたのいつだったかも覚えてない」




ドニー「さて、夢の場面からメインの…いや夢ではないな、過去と繋がったハイブの精神や記憶。2頁めで古代シンビオート語の最初の事例が出て来る。皆が解けるとても簡単な暗号、つまりは『神来たる』と。そこから言語を逆にたどれる」

司会「読者からその言語について沢山質問を貰ったよ『翻訳はある?』『英語との対応表とか作ったの?』」

ドニー「あるよ。そのやり方はと言うと、英語で書いて脚本にこう書く。『これ編集部でクールな言語にしといて!』」

ライアン「コミックスってやつはもう!😆」

ドニー「この号後半でナルに感染したシンビオートが『神来たる』と。で『ナル』がこの言語で最初に書かれた事例は、レックスがエディの顔爆弾で吹っ飛ばす直前だね。だからそこから逆行学的にわかる、英語で読める。だから質問の答えはイエス」


ドニー「この本で僕らが絶えずやってることが…僕の日頃からの主張として『スパイダーマンがスーパーマンなら、ヴェノムはバットマンだ』と。だから僕らの本ではほぼ間違いなく常に夜で雨なんだ。ほぼいつもそう。僕らの意図的なもの―

そこがこの本で僕らの最終目標なんだ。この話ライアンは僕に嫌という程何万回も聞かされてるけど―パニッシャーは登場時スパイダーマンの悪党だったろ?でも今はもう誰もそうは思わない、後の作家と画家が彼独自の世界観や彼に悪党を与えてマーベル世界で活動する居場所を作ったからだ。

それが僕らのヴェノム連載での最終目標。スパイダーマンの余りに偉大な影響力の影からヴェノムを分離すること。その一端としてヴェノムのNYをヴェノム独自のNYにしたかった。ソーが飛びまわったりスタークタワーを見せたりしたくなかった。

ヴェノムの…こじんまり纏めた…とても孤独な世界を感じさせたかった。アブソルート・カーネイジ誌で―ピーター・パーカーがアブカネ誌に出てるのはもう皆知ってると思うけど―ピーターが登場した瞬間、トーンや色が変わる。

なぜならその本で初めてエディが突然マーベル世界へ入るからだ。周囲が変わる、その世界に入るのがエディは大嫌いなんだ。スパイダーマンに会うために入る扉には616と書いてある、エディがマーベル世界に入るからね。ここでそれを確立させて―」

ライアン「俺のアイデア😁」

ドニー「そう、それは完全にライアンのアイデア。

そこにマーベルの他の本と比べてとても際立った対照性が見えるだろ。彼自身の感触を与えたかった。ダークで汚く静か。恐ろしく最悪で、孤独。

その後の頁は…その前に何かいう事あった?」



ライアン「その後(*エディの部屋)は閉所恐怖症な感じに狭くした、エディがとても最悪な状態なのを見せたかった。『デアデビル:ボーン・アゲイン』でマット・マードックが陥ってたどん底状態に釣り合わせた感じで」

ドニー「ここはヴェノム映画が僕らから盗んだ場面ね!薬飲んで鏡覗き込む」

ライアン「ああそう…完全に盗まれ…た…😅」

ドニー「真剣に鏡見る場面は僕らが開拓したから!

あ、あと長髪のこと。これが僕とライアンが超90年代っ子な所。史上最高かつ最悪のヴェノム誌はどれも長いゴージャスなソー風髪型してるエディだから。僕はずっとそれが大好きで。

この章ず~っとライアンにエディを雨の中に置いて、あの…素敵な外見のトップショート背後長めの、リーサル・プロテクターとかで有名なあのエディが欲しいとせびってたのに…ライアン一度もやってくれませんでしたね…。それがとても腹立たしい…😒」

ライアン「😅あと言いたいのはこの辺りの頁、話し合ったの覚えてるんだけど―俺の直感としてはエディは醜い感じ、トッド・マクファーレン風の、がっちり体型の…。(ドニーが同時に)『脳筋』。そう。でドニーが『違う違う、もっとハンサムに』俺は『えぇ~…それはないわ…それはどうかと思うわ…』って。だから俺が押し切った。

でも見てわかる通り、進めるにつれて俺もその辺りは納得して…そこがコミックスの好きな所。ジャック・カービー原案ザ・シングは最初文字通りゴミ野郎で登場し、後にゴツゴツの化け物になる。だから―」

ドニー「アイスマンはふわふわかき氷になった!」

ライアン「何て?」

ドニー「アイスマンは最初かき氷っぽかった、制作陣が氷の描き方見つける前は」

ライアン「ああ。でもほら、俺はゆっくりと描き方を変え出した。

で結局もっとハンサムに―決して美形ってわけじゃないけど、でもエディを描く時は―」

ドニー「主役に」

ライアン「そう!主役に。こいつはヒーローなんだ、と把握してからは。ヴェノムIncよりはハンサムに描いてる、あっちは化け物的に完全に気持ち悪い外見で描いたから」

ドニー「僕らのヴェノムの外見を発展させることは、僕らが何度も何度も何度も話し合った所。

今まで見てたヴェノムとそんな変わらないと見えるかもしれない。

でも本当の所本当は…僕はライアンにずっとせびってたんだ、『エディをスーツの中にいる人間に描く』ようにと。『その下に人間がいる』のがわかるようにしてと。ヴェノムになった時ハルクのように見えたら人間味の一部を失うと思ったんだ。

結局の所、皆がスパイダーマンを大好きなのは、ピーター・パーカーだから。スパイダーマンじゃない。マイルスでもそう。マスクの下のキャラクターが好き、だろ?

長い間ヴェノム誌ではそこが欠けてたと思ったんだ。

僕らヴェノムの外見もスタイルも大好きで、でも僕はエディ・ブロックが大好き。豊かな背景があるキャラクターで、それが主役としてエディをもう少し人間味を深め成長させられる。結果として僕らはエディをもう少し主役っぽく、共感できるように見せることを進めて来た。

そしてこの悪魔の下には…人間がいると見分けられるよう…」

ライアン「ヒーローがいると」

ドニー「そう、ヒーローがいる」

ライアン「誰も筋肉バリバリ巨体ヴェノムは好きじゃない。

例えばジョー・マデュレイラのアルティメッツのヴェノムみたいに、超カッコイイけど―」

ドニー「最高だけどね!」

ライアン「俺達はそれはしないと。もししてしまえば俺たちが

してることが軽々しくなる。ヴェノムが…ただの化け物になってしまう」

ドニー「うん」


ライアン「俺たちにとって『エディ・ブロックがコスチュームを着てる』んであって…そう、化け物じゃないんだ。

完全に化け物ってわけじゃなくて、ヴェノムになった時もまだエディが中にいるんだ」

ドニー「それにエディの半身、シンビオートにも…ベタな言い回しだけど、人間味が出る。

自分を見失うのは簡単なんだ、その―『化け物の部分』って僕らは呼んでるんだけど、なぜなら―というのも、他の人がエディをそう認識してるからそう言ってるだけで―でもそれもエディの半身なんだ。

だからシンビオートを鬼みたいにしすぎたり、その逆はどちらでもしたくない。この本でむちゃくちゃやらかした俺が言うのもなんだけど。

そこをちゃんと保つのが…描くのが難しいキャラ、だって二人のキャラクターを書くからね。チームアップ本なんだ、大部分はね。だから二人共できる限り、平等に―これもベタな言い方だけど―リアリティをと。

僕にとってその裏にあるコンセプト、ヴェノム誌の中心的概要はサイファイホラーって前提で。決してただの悪党とヒーロー本って扱いじゃなくて。そこを心がけてる。個人的には鋭い歯のハルクよりも、宇宙人がくっついてる男って方が超キモイ!!」




司会「ヴェノムは巨大では歯や舌は怖いけど二人はエディにもシンビオートにも表情をつけて人間味を与えてるね。戦闘中ピーターのマスクを破って読者にもっとピーターの目線やら表情を見せるように…」

ドニー「この本で僕らはずっとそれをやってるんだ。

僕はこの本でエディが人と会話する時、常にマスク部分を剥ぎ取る。常にエディが見えるように。僕のお気に入りはこの連載の後の方でマイルスがエディに会ってとても怖がる。酷い反応をしたから、エディは即座にマスクを解き顔を見せる。『なあおい、お前のことは知らないが、俺は悪党じゃないさ』と宥める。僕にとってはそれがこの本で本能的に書いてる事。きっとエディはいつもこうしてるんだろうと…エディは人々に恐れられたくないと思ってると思うんだ。いや、相手が脅す必要がある悪党じゃない限りはね(笑)ピーターと話す時、息子とだって話す時、僕はエディのマスクを剥ぐ。だってあの歯や舌や目は戦闘用装束だ、あれこそ爪を剥き出した状態。そこがライアンと僕が話し合った所で、歯が出て来る時は常にウルヴァリンの爪が出て来るのと同じに感じさせたいと。戦闘用の顔」

ライアン「その話がちょうど次の1ページぶち抜きに繋がるんだ。クレジットページ後、ヴェノムがスイングして移動してる。俺にとって重要な見せゴマページ。当初口は描かずにいようと」

ドニー「うん!」

ライアン「完全に歯は見せない」

ドニー「最初意図としてはナル感染した姿見せるまではずっと歯は見せないでおこうと」

ライアン「ああ」

ドニー「でも意図通りには見えなくて。デカくて筋肉ある黒スーツのスパイダーマンに見えてしまうと。特にこれはぶち抜きの見せゴマだから。このページこそ僕とライアンのこれが僕らのヴェノムと言う主張と言うか。雨の中でバッグ持ってウェブ。長い間ヴェノムにウェブはなかったから。でも口なしの部分は、編集に考え直しさせられた。『いやせっかくだから口描け』と」

ライアン「当時の俺達のリアクション覚えてる、『あ~…チッ、まあいいよ、反論はしません』と(笑)」

ドニー「確かに(笑)」

司会「この頁、ツイッターの皆が指摘してたけど古典的なテイストでぐるぐるウェブだね(*トッド・マクファーレン画の目印であるスパゲッティ(ぐちゃぐちゃ)ウェブ)」

ライアン「うん」


司会「次の頁は新たなジャック・オ・ランタンやグリズリー。ファンからの質問で『なぜジャックを使ったの?なんでジャックが出て来たの?』と」

ドニー「あ~…本当の答え知りたい?」

司会「当然」

ドニー「ジャックはリックのヴェノム連載(*フラッシュ主役のエージェントヴェノム誌作家リック・リメンダー氏)の敵役で…1号でめたくそにしてリックに見せつけてやりたくて(笑)」

ライアン「そ、それは知らなかった…たった今知った…(笑)」

ドニー「知らなかった!?(笑)いや勘違いしないでよ、皆にはちゃんとわかっておいて貰いたいんだけど、僕はリックが大好きで敬愛してる。素晴らしい作家で僕にとって素晴らしい友達で、例え銃口突きつけられたとしても僕は決してリックの悪口なんて言えません!

でも俺は時にとんでもない張り合いたがりの嫌な奴で…(笑)この本引き継ぐなら…。俺がこの連載に携わると発表された時、貰ったツイートは全部、『フラッシュ戻せ!/フラッシュ戻せ!/フラッシュ戻せ!/フラッシュは!?』…!全部それ!でも90年代育ちの俺としては、『なあお前らさ?確かにエージェントヴェノムイケてる。勘違いすんなよ、あの連載は超イケてる。だけどな…ハッ、エディ・ブロックこそがヴェノムなんだよ!!落ち着こうぜ』とね」

司会「数号後で―読者の皆さんにはネタバレ注意だけど―フラッシュの本質がシンビオートに顕現した、エージェントヴェノムのすごくすごく素晴らしい場面(*8号超カッコイイ!)があるね」

ドニー「あれが僕からリックへの『大好き!』と言うラブレター!!それに先人のおかげがあってこそ僕らは光栄にも今この象徴的なキャラを引き継がせて頂けた、だから全てのヴェノムの歴史からあれこれ取り入れたいんだ。リックや全員…カレン(今期13号~15号のWotRゲストを担当した作家カレン・バン)、マイク(前ヴェノム誌担当作家マイク・コスタ)、この本に関わった全員がもしいなければ、僕らがこの本に携わせて頂けることもなかった。だから時にちょっと茶化し、時にはオマージュし取り入れたいと。

この場合は、『確かにフラッシュ・トンプソンは超カッケー!本当に素晴らしいキャラクター』だと見せたかった。…でも倒すのに38号かかったジャックを、1号でヴェノムが路地でたった6秒で眼球を抉り出すんだぜ(笑)

でもこれだけはっきり述べておこうと思ってたんだけど、これは違うジャックだから!あいつとは別の奴!ただビジュアル的にクールだから。

それに凄いんだ、こいつ…この男が誰にせよ、カレンのWotRの敵役なんだ!WotR号のジャックをよく見ると、片方の目だけが燃えてる。ヴェノムのせいで!

あと面白い話があるんだけど、この目を抉り出した話で。面白いんだ。グリズリーや他キャラ使ったのは、脚本内でマーベルの編集宛てに『使えるヴィランのリスト欲しい』って書いた、そしたらこのキャラたちが…(笑)ありていに言えば、そういうこと(笑)」

(*ヴィラン使用は他誌との兼ね合いがあるため編集部管理のスケジュール制。使えるヴィランを手配するのは編集の主な仕事)


(とりあえずここまで訳しとく。続きは気が向けば)

🌜✨まったりスパイディ周りいろいろ

アメコミネタバレ注意★特に今週のスパイディ+デッドプール+ヴェノム